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公共建築工事標準仕様書

公共建築工事標準仕様書 4節ガス圧接工事要約解説!

新米くん

鉄筋工事の圧接工事についてどんなことが書いてあるか知りたいっス

こんなお悩みにお答えします。

所長

現役現場監督の私がしっかり解説します。

公共建築工事標準仕様書は、国や地方自治体が発注する建物の工事品質を統一するための重要な基準書です。今回の令和7年版でも鉄筋工事に関する圧接工事の仕様が一部見直されています。現場では、鉄筋の接合方法として主にガス圧接が採用されますが、適切な施工手順や検査方法を理解していないと、構造耐力に重大な影響を及ぼす恐れがあります。このブログでは、仕様書の要点を現場目線でわかりやすく解説し、新人現場監督の方にも見やすい内容にまとめました。ぜひ確認して、現場管理に役立ててください。

 

5.4.1 一般事項

この節は、鉄筋を酸素・アセチレン炎を用いて加熱し、圧力を加えながら接合するガス圧接に適用する。

✅現場監督のチェックポイント
➡︎ 圧接機や周辺器具の整備状況を毎朝作業前に確認し、不具合のないことを確認する。

 

5.4.2 ガス圧接作業を行う技能資格者

圧接作業を行うには、JIS Z 3881の資格資格者が必要です。無資格者の作業は禁止されており、作業員名簿で資格の有無を確認することが重要です。

✅現場監督のチェックポイント
➡︎ 作業前に必ず作業員名簿と資格証の確認を行い、資格保有者であることを証明できる状態にする。

 

5.4.3 圧接部の試験を行う技能資格者

超音波探傷試験は、圧接部の検査に特化した資格者が行い、さらにその試験者は施工の品質管理に関与していない第三者でなければなりません。

✅現場監督のチェックポイント
➡︎ 検査者の所属と資格を確認し、施工管理担当と兼任になっていないことを必ず確認する。

 

5.4.4 圧接部の品質

圧接部の品質は以下の表の基準を満たさなければなりません。(径の異なる場合は細い方の鉄筋径で計算する)

項目基準値
ふくらみの直径鉄筋径の1.4倍以上
ふくらみの長さ鉄筋径の1.1倍以上
圧接面のずれ鉄筋径の1/4以下
鉄筋中心軸の偏心量鉄筋径の1/5以下
折れ曲がり2°以下
片ふくらみ鉄筋径の1/5以下
表面欠陥(焼割れ、へこみ等)強度に影響を及ぼす欠陥がないこと

✅現場監督のチェックポイント
➡︎ 圧接後はふくらみ寸法と偏心量を目視・ノギスで確認し、基準を超えていないかチェックする。

 

5.4.5 圧接一般

圧接機器は常に良好な状態に保ち、鉄筋の径差が7mmを超える場合は圧接不可。ただし、SD345とSD390の組み合わせは許可されています。

✅現場監督のチェックポイント
➡︎ 鉄筋の種類・径の組み合わせを事前確認し、特例を適用する場合は施工計画書にも記載すること。

 

5.4.6 鉄筋の加工

圧接する鉄筋は、圧接後の縮み代を考慮して切断・加工する必要があります。端面は直角・平滑に加工し、他の加工は「3節(加工)」の規定に従います。

✅現場監督のチェックポイント
➡︎ 圧接後の縮み代を必ず考慮し、加工帳の寸法記載と現場実測を照合する。

 

5.4.7 鉄筋の圧接前の端面

圧接端面及び周囲には、錆・油・塗料・セメントペーストなどが付着してはいけません。直角・平滑に仕上げ、必要に応じ面取りも行います。作業は当日に処理し、状態確認を行います。

✅現場監督のチェックポイント
➡︎ 圧接当日に端面の錆・汚れ・加工精度を必ず確認。前日処理では再汚染の恐れあり。

 

5.4.8 天候等による措置

酸素・アセチレン容器は保温・日除けを実施し、法令を順守します。降雨・降雪・強風時は原則中止ですが、風除けや覆いを設けた場合は作業可能です。

✅現場監督のチェックポイント
➡︎ 天候と仮設設備(風除け・テント)を朝礼時に確認。作業可否を現場で判断する。

 

5.4.9 圧接作業

隙間・偏心・曲がりが無いよう圧接器で加圧し、還元炎で加熱後、密着を確認。その後中性炎で鉄筋径の2倍程度加熱し、適正圧力で圧接します。加熱異常時は再調整し、必要なら切断して再圧接します。

✅現場監督のチェックポイント
➡︎ 圧接中の火炎状態と圧接部の火色を常時確認し、異常時は即中断・調整。

 

5.4.10 圧接完了後の圧接部の試験

外観試験は全数対象とし、ふくらみ・ずれ・偏心・折れ・焼き割れなどを目視と器具で確認。超音波探傷試験は、特記がなければ採用し、1ロット30か所無作為抜取り、JIS Z 3062に準拠して全数合格でロット合格とします。引張試験を行う際は、特記がなければ1ロットに対して3本とする。試験方法はJIS Z 3120に準拠して引張強さが母材の規格値以上(母材破断)である場合を合格とします。

✅現場監督のチェックポイント
➡︎ 外観検査で異常発見時は即座に作業班責任者と協議し、当日中に原因究明・是正。引張試験は公共機関にて実施。

 

5.4.11 不合格時の措置

不合格圧接部はふくらみ不足・ずれ・偏心・折れ曲がり・焼割れ等によって、再加熱・修正または切断再圧接を行います。ロット不合格の場合は全数超音波探傷試験を実施し、再発防止策を監督職員の承認を得て再開します。

✅現場監督のチェックポイント
➡︎ 不合格圧接は必ず再発防止策書を作成・提出し、監督職員承認を得る。

 

引張試験を行う為に、実際に圧接した鉄筋を切断してテストピースとする事を「抜き取り」と言います。抜取り試験の方法について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

※詳細は国土交通省 建築工事標準仕様書(建築工事編)をご確認ください。

 

まとめ

 

公共建築工事標準仕様書令和7年版における圧接工事は、鉄筋接合の信頼性と安全性を確保するため、厳格な施工管理が求められます。資格を持った技能者による作業、圧接機器の適正な管理、端面処理の徹底、そして施工後の超音波探傷試験や引張試験による品質検査が必須です。加えて、作業環境の安全確保や不合格時の迅速な対応も明確に規定されています。現場監督はこれらの基準を理解し、日々の点検と記録を怠らず、圧接部の品質を最優先に管理することが重要です。安全・品質両面での適正な施工が公共建築の基盤を支えます。

 

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