
コンクリートの圧縮強度試験って何スか?
こんなお悩みを解決します。

現役現場監督の私が、しっかり解説します。

鉄筋コンクリート造のコンクリート工事において、コンクリートの圧縮強度が要求された基準を満たしているかを確認することは非常に重要です。何故ならば、鉄筋コンクリート造の構造体としてコンクリートは圧縮強度の耐力性を担っているからです。
その品質確認の方法として「圧縮強度試験」が行われます。現場で打設されたコンクリートの供試体(テストピース)を専用の圧縮試験機で破壊し、その強度を数値で確認するのがこの試験です。特に構造耐力に直結するため、適切な試験体の採取・養生・試験・報告が求められ、現場監督の管理も重要となります。
この記事では、圧縮強度試験の基本から手順、現場での確認事項までをわかりやすくまとめました。現場監督・施工管理技士の方はぜひチェックしておきましょう。

コンクリートの構造体には必須の試験なんスね!
1. コンクリートの圧縮強度試験とは
圧縮強度試験とは、所定の形状・寸法の供試体(例:Φ100×200mm)に一定速度で圧縮荷重を加え、破壊時の最大荷重を測定し、コンクリートの圧縮強度(N/mm²)を求める試験です。この試験は建物の安全性や耐久性を保証するための重要な品質確認のひとつで、通常は打設後7日、28日(必要に応じ91日)で実施し、更に型枠の脱型前の強度確認などで実施します。

単位はN/m㎡(ニュートン平方ミリメートル)だよ。
2. 圧縮強度試験の必要性
- ✅ 構造体としての設計基準強度が確保されているか確認するため
- ✅ 品質保証・品質管理記録を残すため
- ✅ 型枠解体前に必要強度が確保されているか確認するため
- ✅ 施工不良などの問題が発生場合の原因調査資料とするため

型枠の解体前に必要な強度が出ているのかを確認する時にも必要なんスね!
3.圧縮強度試験を行う場所とは
コンクリートの圧縮強度試験は、以下のいずれかの施設で実施されます。試験実施場所によって、供試体の管理方法や試験のタイミングが異なるため、事前確認が重要です。
試験場所 | 概要 |
---|---|
コンクリートプラント内試験室 | コンクリート製造工場内に設置された試験室で、製造ロットごとに強度確認のための試験を行う。現場養生供試体とは別に標準養生で試験する場合も多い。型枠解体確認用や1週強度は工場試験が多い。 |
公共機関試験場 | 各都道府県の建設技術センターや、第三者試験機関で行う。公共工事の場合や第三者証明を求められる場合に利用することが多い。4週強度試験は公共機関試験場で実施すること。 |

4週(28日)強度は構造体の最重要項目になる為、必ず第三者機関で試験しよう
4. 試験までの流れ
手順 | 内容 | 注意ポイント |
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① 供試体の採取 | 打設時にスランプ試験と同時に専用の円筒形の型枠へコンクリートを詰め、振動締固めし、番号を付ける。供試体は3本1セットとする。予定試験回数×3本が供試体本数。 |
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② 供試体の養生 | 所定の方法(標準養生または現場水中養生など)で試験までの間適切に養生管理を行う。 |
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③ 破壊試験の実施 | 規定の試験日に圧縮試験機で破壊し、最大荷重を測定する。供試体は3本1セットの為、3本全て強度試験を行いその平均値を試験結果とします。 |
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④ 試験結果の報告 | 計算した強度値を基準値と比較し、合否を判定・監理者への報告。 |
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5. 現場監督の確認事項
- ✅ 供試体の採取状況と打設ロット番号の整合確認(日付や打設部位がわかるようにする)
- ✅ 養生方法(標準養生・現場水中養生)の明確な指示と記録
- ✅ 試験成績表の確認と強度の基準値合否チェック
- ✅ 型枠解体前の試験日のスケジュール確認
- ✅ 報告書作成・保存・施主報告の適切な実施

供試体採取前に構造図の記載を確認、または監理者に以下について確認しておこう
1.供試体の採取方法(一度に採取か、縦割りか)
2.供試体の養生方法(現場水中養生、標準養生など)
3.試験回数は何㎥毎に実施するのか
4.供試体の最低必要本数は何本か(4週強度のみか)
5.監理者立会いは行うのか
6.コンクリート圧縮強度試験参考資料
・一般社団法人 日本建築あと施工アンカー協会(JTCCM)建材試験図鑑その2(PDF)
圧縮強度試験の流れや手順をイラストでわかりやすく解説しています。とても見やすいです。
・JIS A 1108:2018 コンクリートの圧縮強度試験方法(JIS規格原文リンク)
圧縮強度試験方法についての公式JIS規格本文。
5. まとめ
コンクリートの圧縮強度試験は、構造躯体の安全性を確保するための重要な品質管理工程です。打設時から供試体の採取・養生・試験・結果報告まで、現場監督は確実な管理と確認を行うことが求められます。試験成績は施工記録の重要な資料となるため、記録の保存も徹底しましょう。