新人や若手が育たない!うまく教育できない!現場が忙しくてそれどころじゃない!教えてるつもりなのに成長しない!それってあなたや現場のせいですか?そもそも会社全体で若手の教育に取組んでいますか?
新人現場監督の教育方法についての改善案を提案します。
本記事の内容
- 新人現場監督を教える側の環境を整える
- 新人現場監督配属先を固定しない
- 具体的な教育マニュアルを作成する
- 教育を一括管理する担当者を専任する
現役ゼネコン現場監督の私がしっかり解説します!
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新人や若手の現場監督を教育をしているつもりなのに、思うように成長してくれない。
そんな悩みを抱えていませんか?
私の勤める会社でもなかなか若手は育っていないのが現状です。
しかし、それは新人や若手社員だけの問題ではないと考えています。
何故ならば、過去の建設業界で行っていた教育方法が今ではほとんど使えなくなっているからです。
コンプライアンスを意識した現代の教育方法で指導・教育をしても、育たないのは明白です。
しかし、だからといって昔の建設業界のように、過度な残業や強制的な仕事の押し付けをして育てる事は出来ません。
結論的に、指導・教育について根本から考え直し、現場監督の教育マニュアルの作成をしなくてはいけません。
「そんな事やってる時間はないし、そもそもマニュアルのノウハウもない」
という会社がほとんどだと思います。
この記事では、すぐに実践できる簡易的な指導環境の構築と指導方法について解説します。
若手現場監督を効率的に育てる事は、5年、10年後の会社の利益の為には絶対に必要な事です。
この記事を読めば、とりあえずでも若手の教育環境の改善の手掛かりになると思います。
最終的には教育マニュアルの作成が必須となりますが、まずは出来る事から変えていくという気持ちで取り組んでみて下さい。
ここで言う「若手現場監督」とは、1~3年目程度の現場監督の事です。
上司はいつも忙しそうだから、
こっちから「教えてください」って言いにくいです。
忙しい現場だとなかなか聞けないよね。
若手のそんな不安を解消する提案です。
若手現場監督を教える側の環境を整える
まず、会社がよくやる失敗例として、【適切な教育者のいない現場に配属する】という事です。
基本的に、ある程度の研修期間を終えた新人現場監督はどこかの建設現場に配属されます。
その時に、会社は教える側(教育係)の事を考えて配属先を決めない事が多いです。
新人や若手を育てる事は大事な事だと誰もが理解はしています。
しかし、教える側にその余裕がなければ教育なんて出来ません。
また、「現場の着工時から携わった方がいい」と、考える人もいますが、現場の着工時の現場監督の仕事は多忙です。
若手を構ってる余裕なんてありません。
教育をするのに一番いい時期は、ほとんどの施工図の図面承認が完了している現場です。
そのくらいの時期であれば現場の流れが出来上がっていて工期が足りない現場でない限り慌ただしくなることはありません。
教育する側の準備が整っていない現場に新人や若手を配属するのは全く無意味です。
配属先を決める決定権のある人は部長クラスの役職の方だと思います。
本当に教育をしたいとお考えならば、若手現場監督の配属先の教える側の事を考えましょう。
現場の事は全然わからないけど、
とりあえず自分のやるべき仕事は早く覚えたいです!
新人・若手の基本を教える時間を確保できなければ、
いつまでたっても成長できない。
時間を無理やり作るのではなく、
時間のある現場に配属するのが理想だね。
新人・若手現場監督の配属先を固定しない
建設現場は常に変化しながら進んでいきます。
毎日多くの職種の施工管理に目を配りながら仕事をしなくてはいけません。
しかし、現場の時期によっては現場監督の仕事量が少ない時期もあります。
そういう時期は、若手現場監督の仕事量も少ないはずです。
上司も部下も仕事に余裕があれば、教育の時間が作れるのでないでしょうか。
そんな事を言うと、「いやいや、そんな風にうまく配属できるわけないだろ」
という意見が聞こえてきそうですね。
私は常々、本当に効率のいい現場の配属は、若手はフレキシブル(柔軟)に現場を移動するべきだと考えています。
こう言うと、若手を都合のいい様に使っているみたいに聞こえるかもしれませんが、逆です。
断言しますが、新人や若手の現場監督を絶対的に必要とする現場はありません。
現場所長は、使える部下は欲しいと思っています。
新人や若手の社員を欲しがる現場所長はいません。
しかし、会社は現場の適正な社員の人員調整の為だけに、若手や新人を配属します。
現場所長から言わせると、特に新人の現場監督は負担でしかありません。
ずっと面倒をみないといけないとなると、多忙な時期は本当に大変です。
現場が多忙な為に新人現場監督をほったらかし状態が出来上がってしまい、
若手現場監督にとってもいい迷惑です。
つまり、忙しい現場(忙しい時期の現場)に教育が必要な新人、若手がいることは、どちらにも得がないのです。
上司は自分の仕事に集中できないし、部下はろくに教えてもらえない。
そんな状況では無駄な時間を過ごすだけです。
特に新人の現場監督は、教育を受けて仕事を覚えなければ何の戦力にもなりません。
一つの現場でじっくり教える様な事が出来れば別です。
そうでなければ、教える余裕のある現場にどんどん配置替えをして投入して行く方が効率的です。
よくわからないまま仕事を与えるのではなく、仕事よりも教育に重きをおける現場に配属しましょう。
色んな現場を観る方が楽しいです。
あと、まだ知らない会社の人にも会えるので早く顔を覚えてもらえます!
若いうちは社員と交流を深める事も重要です。
色んな現場と色んな社員を知る事はいい経験になります。
若手現場監督用の簡易的な教育マニュアルを作成する
あなたの会社に、新人、若手現場監督の教育マニュアルはあるでしょうか。
新人研修程度ではなく、実際に一人前の現場監督にするまでの教育マニュアルです。
マニュアルが存在すれば、それに従って教育をしましょう。
もしも会社に教育マニュアルがないのであれば、最終的にはマニュアルの作成を目指しましょう。
ただ、最初は簡易的なものでいいので簡易版のマニュアルを作成しましょう。
マニュアルとは教え方もそうですが、どういう順番で何をどのように教えるのかを明確にするものです。
全くの新入社員であれば1から全てを教える事から始まります。
しかし、ある程度現場経験がある若手(2,3年目)の場合、その若手がどこまで仕事が出来るのか確認ておきたいものです。
そして、次に何を教えるべきかも理解しておきたいですよね。
前項で、若手は余裕のある現場にどんどん移動した方がいいといいました。
しかし、指導した先でどこまで仕事をしてきてどこまで教育を受けてきたかがわからないと、無駄に同じ教育を受けてしまう恐れがあります。
もちろん教育はしたけれどもまだ習得出来ていなければ同じ事を教える事になります。
ただ、まだ教わっていない事が何なのかは把握しておきたいものです。
簡単に言えば、「若手現場監督用スタンプカード」を作ればいいのです。
覚えるべき内容を箇条書きでリスト化し、
覚えた仕事にスタンプを押していくような感覚です。
そのスタンプが全て押されたら、一通りの教育は終了!という事です。
内容によっては、そのジャンルを得意とする上司に教えてもらう機会を作るなどの工夫も良いかもしれません。
全ての仕事が、現場でなくては学べないわけではありません。
月に一度くらいなら、夜に時間を作って勉強会のようなものを開催するのもよいでしょう。
まずは、新人に何から教えていくべきかを箇条書きでもいいのでリスト化し、それに優先順位をつけて簡易的な教育マニュアルを作成しましょう。
教育マニュアルの具体的な作り方に関しては、下のリンクを参照してみて下さい。
覚えるべき事がリスト化されてると目標みたいでモチベーション上がります!
でも教わったのに覚えられていない時はヘコみます。
リスト化は、教える側も教えられる側も確認が出来るからいいね!
現場監督の教育状況を一括管理する担当者を選任する。
最後に提案する内容は、もしかしたらすごく難しい話かもしれません。
また、ここで言う現場監督とは、1~3年目ではなくまだ一人前とは呼べない現場監督全員の事です。
あくまで理想的な話として聞いて頂ければと思います。
それは何かと言うと、一人前の現場監督に育つまでの教育担当者の専任です。
教育担当者が若手全員の教育状況を把握し、管理を行うという事です。
最近では一人前の現場監督になるまでは、早くて6~7年、もしくはそれ以上かかるのではないかと思います。
会社が毎年どれだけの新入社員を採用するかにもよりますが、一人前になるまでの現場監督全員を一人が管理するのは人数次第では難しいかもしれません。
しかし、成長を効率的にさせる為には教育担当者という存在は必要かと思います。
それぞれの配属先の上司は、その時の部下の状況は把握していても、その前、その後のことはわかりません。
前項で解説した簡易版マニュアルは、あくまで教える側がどこまで教えたかを把握するだけの資料にしかなりません。
若手がどう成長しているのか、成長が早いのか遅いのか。
覚えがいいのか悪いのか、褒めて伸びるタイプなのか、怒るといじけるタイプなのかなどなど。
また、得意分野は何なのか、苦手なのはどんな仕事なのか。
はじめの数年はいいのですが、あともう少しで一人前という段階での詰めの教育は、更に慎重かつ効率的に行いたいものです。
その為には若手社員の事を理解した存在が不可欠です。
多くの場合、工事部長などがその立場になるかと思いますが、20代の若者の気持ちを40,50代のおじさんが的確に理解できると思いますか?
私は無理だと思います。
つまり、比較的に若手で仕事が出来て、さらに面倒見のいい社員で(そんな社員がいるかが問題ですが)
30代くらいで現場所長経験がある、若しくは現場所長としての実力がある。
そんな有望な社員に若手の教育担当を任命しましょう。
工事部長は若手の成長をその教育担当から聴取すればいいのでいちいち各現場の所長に聞かなくてもいいですし、上司によって部下の評価の仕方は変わるものです。
定期的に教育担当者が若手の仕事ぶりをチェックして評価する方がより客観的な評価になるのではないかと考えます。
この提案の最大の問題点は、教育担当者になれる人材が会社にいるのか。
という点だと思います。「あいつなら出来る!やってくれるだろう」と、思える社員がいるようでしたら是非実践してみて下さい。
現場監督という仕事は、現場に配属されるとその小さなコニュニティーで仕事をすることになり、会社全体の繋がりは感じにくくなるものです。
現場で悩みを抱えていたり、上司とのコミュニケーションがうまく取れていなかったりしても、会社がそれに気付くのは若手社員が辞表を持ってきた時。
なんてことは、よくある事です。
そういう事態を作らない為にも、ある程度の教育担当が必要だと思います。
会社の人材を育てるには、会社がチームとなってまとまらなければ無理だと思います。
誰かが教えるだろう。ではなく、みんなで教えよう。
という雰囲気が大切です。
教育係の役割などの詳しい説明は、下記リンクを参考にしてみて下さい。
現場の上司以外に気軽に相談できる先輩がいるのは、とても心強いです!
現場の上司が苦手で聞きにくい時は、先輩を頼ろう!
まとめ
今回お話した内容は、個人の社員が新人を育てる為のものではありません。
会社全体で新人・若手を効率よく教育するための提案です。
このブログを読んでくださり、共感をして下さった現場監督の方がいましたら、
是非会社に提案してみて下さい。
若手が早く成長すれば、今現役で頑張っている人たちが早く楽になるという事です。
そして若手が成長し、戦力になる現場監督が効率よく育て上げる事が出来れば、それは会社としての強みになります。
新入社員をどんどん入れても、教育環境が整っていれば必ず戦力になる社員が生まれてくるわけです。
好循環が好環境を生みます。
いち早くそれに気付いた会社が、これからの業界を引っ張っていく事になるでしょう。