https://genbakantoku2022.com

若手現場監督専用

型枠の存置期間とは

新米くん

鉄筋コンクリート造の型枠ってコンクリート打設後何日経ったら解体していいんですか?

こんなお悩みを解決します。

本記事の内容

  • 構造図でわかる型枠の存置期間
  • コンクリート強度による型枠解体時期の確認
  • 型枠解体時期確認の流れ
所長

現役ゼネコン現場監督の私がしっかり解説します!あなたの現場の構造図を見ながらお読みください!

構造図でわかる型枠の存置期間

設計図の構造図の1ページ目にある、構造設計標準図(仕様書)の「鉄筋コンクリート工事」を見てみましょう。そこに「型枠」という項目があると思います。そして下のような表がないでしょうか。

全く同じ表ではなくても、似た様な表があなたの現場の構造図にもあるはずです。まず、表の見方を解説します。施工箇所とは、解体したい型枠が、どこに使用されている型枠かを表しています。

セメントの種類は、コンクリートに使用されているセメントの種類の事です。存置期間中の平均気温が、0℃以上、5℃以上、15℃以上とあるのは、外気温と型枠解体には大きな関係があるからです。

この3つの条件から導かれる「コンクリートの材齢による場合」の数値が、存置期間となります。例えば、基礎の型枠で普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートで平均気温が15℃以上であれば下の表の様になります。

新米くん

型枠の場所や気温、セメントの種類で解体できる日にちが変わってくるんですね!

その通り!まあ、建設現場の場合はよっぽど普通ポルトランドセメントだけどね。

所長
新米くん

表の下の方にある、「コンクリートの圧縮強度による場合」っってなんですか?

うん。いい質問だね。それをこれから説明しよう。

所長

コンクリート強度による解体時期の確認

「コンクリートの材齢による場合」だと、コンクリートを打設してから3日間は型枠を解体してはいけないという事です。では、3日間待つしかないのかというと、そうではありません。

表の下にある、「コンクリートの圧縮強度による場合」という方法もあります。コンクリートの材齢による場合だと、決められた日数が経過すれば解体が可能です。

「コンクリートの圧縮強度による場合」は、テストピースというコンクリート圧縮強度試験用の供試体を採取しておく事で可能になります。表には、「圧縮強度が5N/m㎡以上となるまで」とあります。

つまり、試験結果の強度が5N/m㎡以上出ていれば型枠の解体が可能という事です。

建設現場のほどんどの現場が、存置期間の日数ではなく圧縮強度を確認して型枠の解体を行っていると思います。何故ならば、その方が早く解体出来るからです。工事を早く進める為にはその方が効率的です。

5N/m㎡以上の強度であれば、打ち込んだコンクリートの強度にもよりますが、2日目には強度は出ています。夏場などの外気温が高い時期だと、コンクリートを打設した次の日に5N/m㎡以上の強度が出る時もあります。

なので、現場監督として確認すべきは、「圧縮強度がどれだけ出れば型枠が解体できるのか」です。ここに掲載している表は、あくまで一つの例です。

表の数値は各現場の設計図によって変わってくるので、必ず確認をしましょう。スラブ下と梁下も同じ考え方で確認をしてみましょう。

スラブ下とは、床を支えている支柱及び型枠の事です。上の表の場合だと、設計基準強度の85%以上又は12N/m㎡以上とあるので、例えば設計基準強度が24Nの場合

24N×0.85=20.4N/m㎡となります。12N/㎟以上でも解体可能なので、実質設計基準強度の85%以下でも解体可能という事です。

こちらも圧縮強度試験を行って確認をする必要があります。梁下の場合は設計基準強度以上とありますので、圧縮強度試験を同じように行い設計基準強度以上の強度を確認できれば解体可能です。

新米くん

解体をする為には決められたコンクリート強度が出ているかを確かめる必要があるんですね!

そうだね。必ず強度試験を行って結果を確認してからじゃないと解体は出来ないんだよ。

所長

型枠解体時期確認の流れ

型枠解体の為の強度確認までの手順

  • 事前に採取するテストピースの本数を決めておく
  • コンクリート打設時に破壊試験用テストピースを採取する
  • コンクリートプラント試験室に破壊試験依頼
  • 試験後にFAX等で試験成績報告書を確認(監理者へ報告)
  • 強度が規定値を達していたら型枠の解体を行う

事前に採取するテストピースの本数を決めておく

コンクリートのテストピースは、正式には「圧縮強度試験供試体」と言います。構造図の「5.鉄筋コンクリート工事」(1)コンクリートの項目に供試体について明記されている場合がありますので、確認してみてください。テストピースは3本1組で1セットです。圧縮強度試験は、3本のテストピースの破壊試験を行い、3本の試験結果の平均値を試験結果の値とするので必ず3本1セットとなります。

なので、テストピースが何セット必要なのかを事前に検討し、コンクリートプラント会社に伝えておきましょう。4週強度を確認するテストピースは必須なので、それ以外に何セット必要なのかを検討します。

テストピースの例(RC造基準階の場合)

  • 4週(28日)強度用・・・1セット※4週のみ公共試験場にて実施
  • 壁型枠解体用・・・・・・・1セット
  • スラブ下型枠解体用・・・・1セット
  • 梁下型枠解体用・・・・・・1セット
  • 合計4セット

通常だと最低でも上記のテストピースが必要になります。その他監理者の指定で1週(7日)強度や91日強度などが必要となる場合もあるので確認をしておきましょう。また、4週強度のテストピースは公共試験場にて破壊試験を行わなければいけないので、コンクリートプラント会社に伝えておきましょう。コンクリートプラント会社経由でJQA(日本品質保証機構)などの第三者機関で試験をしてくれます。

コンクリート打設時に破壊試験用テストピースを採取する

該当する場所のコンクリート打設時に、破壊試験用のテストピースを現場でコンクリートプラント会社に採取してもらいます。打設前には必ず現場に納入した生コンクリートの受入れ検査を行うので、その時に同時に採取します。生コンクリートのテストピースの採取の方法は監理者によって違いがありますので、必ず監理者に確認をしましょう。具体的には「縦割り」といって、採取するテストピースの本数を最初の1台目の生コンクリート車から採取せずに、一定の間隔を置いて数台の生コンクリート車から採取する方法です。構造図に明記されている場合もありますので、確認をしておきましょう。

コンクリートプラント会社に破壊試験依頼をする

テストピースの破壊試験は事前に日程を決めておく場合と、現場の進捗状況に応じて実施する場合の2パターンがあります。例えば一番最初に解体を行う壁の型枠は、工程でコンクリート打設の2日後と決まっている場合が多いです。それは、要求されるコンクリート強度が確実に出ている日程で型枠解体工事の工程を決めているからです。あくまで確認の為に破壊試験を行います。スラブや梁の型枠の解体時期も同じ様に、要求される強度が発現している日数で工程を組みます。そして、破壊試験を行い強度を確認してから型枠の解体を行いましょう。

コンクリート打設前にスラブや梁下の型枠の解体時期が明確に決まっていない時は、進捗状況に応じて確認をする日が変わってきます。その場合は、テストピースの採取時に、「二日後1セットと、X(エックス)2セットと、4週1セットの4セットお願いします」と頼んでおき、解体日が決まったらコンクリートプラント会社に連絡をして破壊試験をしてもらいましょう。X(エックス)とは日程が不明なテストピースの事を表します。地域によっては違う表現をする場合もあるかもしれません。

試験後にFAX等で試験成績報告書を確認(監理者へ報告)

破壊試験を行ったら、コンクリートプラント会社の試験室から試験結果をもらいましょう。正式な書類は後日に郵送などで届けてもらえばいいですが、試験結果をFAXやメールなどで送ってもらいましょう。監理者に試験結果を報告する場合、口頭で「大丈夫でした」と報告するわけにはいかないので、試験成績報告書で強度を確認し、監理者にも提出しましょう。

強度が規定値を達していたら型枠の解体を行う

破壊試験の強度確認後、強度が規定値を上回っていれば解体作業が行えます。強度は問題なくても特に壁の型枠解体時は、まだコンクリートが固まり始めたばかりなので、強い衝撃を与えると欠けなどの原因になってしまうので、解体作業は躯体を痛めないように注意して行うようにしましょう。

まとめ

型枠の解体時期は、躯体工程を決めるのに重要になってきます。何故ならば、躯体工事で使用して解体した型枠は上階の型枠工事でも利用するからです。

型枠は一度だけ使って終わりではなく、何度も転用をするものです。解体しなければ上階で使用出来ないので、要求されている強度が何日目に発生するかを予測して工程を決める必要があります。

強度が出てから解体を行うまで上階の型枠工事が出来ないと工期に影響が出る場合もあります。その場合は余分に新しく型枠を用意しなければいけません。

型枠工事が始まってから新しい型枠を用意していては遅いので、型枠工事に着手する前に余分に型枠が必要であれば型枠業者と打ち合わせをしておきましょう。

-若手現場監督専用