新人現場監督ってまずは何から覚えればいいんスか?覚える事だらけで何をしたらいいかわからないっス。
こんなお悩みを解決します。
本記事の内容
- 社内書類・現場書類を把握しよう
- 現場にあるものの名称を覚えよう
- 現場を隅々まで観よう
- 職人さんとコミュニケーションをとろう
- 片付け・清掃を率先して行おう
現役ゼネコン現場監督の私がしっかり解説します!
X(旧Twitter)にて現場監督あるあるをイラストや漫画で紹介しています。
こちらまでどうぞ→ X(旧Twitter)(@shochou2022)
新人の現場監督として現場に配属されてから、上司の指示がなくてほったらかしにされる時がありませんか?
上司はなんだか忙しそうで、指示を貰おうにも話しかけづらいから、自分は何もしない時間が過ぎてゆく。
そんな経験はありませんか?
右も左もわからない新人現場監督にとって、何も指示がないのは何も仕事が出来ないのと同じですよね。
でも大丈夫です。何も指示がないという事は、特に急いでやらなければいけない仕事がないだけです。
若しくは上司に指示を出す余裕がないのかもしれません。
この記事を読むと、特に上司から指示がない時に、新人現場監督が覚えるべき内容を知る事ができます。
そしてそれは、新人現場監督が乗り越えるべき最初の壁でもあります。
現役現場監督の私が、新人に自主的に学んでほしいと思う内容を紹介します。
きっとあなたの上司も同じように考えているはずなので、これから紹介する内容の事をどんどん実践していきましょう。
新人現場監督は、まず社内書類・現場書類を把握しよう
新人現場監督というか、新入社員にとって社内書類を把握するのは必須の項目ですよね。
社内書類とは、出勤簿や代休、有休届のような個人的な会社に提出する書類も含みます。
また、現場で作成する工事日報のように日常的なものから月報や月末提出書類など、毎月作成する書類も沢山あると思います。
その中で、あなたに関係のある書類については、いち早く理解し把握しましょう。
書類作成用に書き方の見本がある場合はいいですが、書類のみで書き方の見本がない場合もあります。
そういった書類を作成する時は、初めて自分で作成した書類を見本として保存しておくと次回に役立ちます。
パソコンで作成したのならば、データを保存しておくだけでもいいです。
一番いいのはコピーをして書面に自分なりに書き方や注意事項などを赤ペンで書き足しておくと更にいいですね。
完全に書き方を覚えるまでは、見本を用意するようにしましょう。書類を作成するたびに上司に聞くよりも効率的です。
慣れてしまえば見本などなくても作成できるようになると思いますので、慣れるまでは見本を作成しておくのをおすすめします。
新人現場監督は、現場にあるものの名称を覚えよう
建設現場で仕事をしていく上で、専門用語を覚えることは新人にとっての大きな課題の一つです。
何故ならば、専門用語が理解出来ていないと会話が成立しないからです。
上司や職人さんから言われる事を理解する為には、専門用語を理解しなくてはいけません。
道具、材料、工法、業界用語など、あなたにとって未知の言葉が飛び交うはずです。
もちろん、初めて聞く言葉はみんな親切に教えてくれるでしょう。
しかし、何度も何度も同じ名称を聞いていたら、相手もうんざりしてしまいます。
私が新人の時は、書店で建設用語辞典なるものを購入し、それで勉強をしていました。
今ではネットがあるので、検索をすればよっぽど調べられると思います。
もしかしたら、地方独特な業界用語や通称のように正式名称とは別の呼び方をする場合はネットではヒットしないかもしれません。
私も、購入した辞典にない名称は、ノートに書いて自分用の専門用語辞典を作成していました。
しかし、それは20年も昔のやり方です。現代ではおすすめ出来ません。
今の時代に私が新人だとしたら、間違いなくスマホを活用します。
現場にある道具や材料なら、それを写真に撮り、撮った写真にテキストで名称を書き込んでしまうのです。
もしくは、工事写真を撮る要領で手持ち白板に名称を書いて撮るのもいいでしょう。
そうやって、覚えるという事を意識していれば、すぐに名称は覚える事ができます。
新人現場監督は、現場を隅々まで観よう
あなたは、ジョジョの奇妙な冒険という漫画を知っているでしょうか。
唐突ですが、私はこの漫画の大ファンです。中でも第四部が好きなのですが、その漫画に登場する空条承太郎という人物の名台詞が沢山あります。
その中でも私が好きな台詞が、「観察しろというのは……見るんじゃあなく観ることだ… 聞くんじゃあなく聴くことだ」
という台詞です。
敵から攻撃されている緊迫したシーンで空条承太郎が広瀬康一君にそう言うのですが、文字で読めば理解できますが、
言葉で言われた康一君が理解するのは至難の業だと漫画を読んでいて思いました(笑)
しかし、これはすごく深い言葉なのです。「見る」と「観る」の違いは、「無意識的にただ見る」のと、「意識的に観る」という事だそうです。
「聞く」と「聴く」も同様の意味で、意識するという事が大事だという意味です。
現場を観るとは、そういう意味です。
あなたも上司から、「時間がある時はよく現場を観て勉強するんだぞ」と、言われる事があるかも知れません。
まだ何が何だかわからない新人にとって、「現場を観るって一体何を観たらいいんだ」となるかもしれません。
でも答えは簡単ですね。つまりは意識して観る事が重要なのです。
例えば、仮設足場を意識して観てみましょう。
どのような部材が組み合わさっているのか、どう組み立ててあるのか。
一番下の足元はどうなっているのか、また、最上部はどうなっているのか。
建物からどれだけ離れて組み立ててあるのか、意識して観ると、色んな疑問が生まれてくるはずです。
その疑問を上司にぶつけてみましょう。
「そんな事も知らないのか」と、嫌味な事を言う上司もいるかもしれませんが、心の中では、「ちゃんと観てきたな」と、喜んでいるはずです。
是非、現場を観る事を心掛けましょう。
新人現場監督は、職人さんとコミュニケーションを取ろう
新人の現場監督とベテラン現場監督の大きな違いの一つに、下請け業者(職人さん)との関係性があります。
所長クラスの現場監督になると、職人さん(特に若い職人さん)と話す機会は減ります。
職長さんとは工程や施工についての打合せはしますが、雑談などはそれほど多くはしません。
当然多忙で事務所にいる方が多いというのも理由ですが、あまり仲良くしすぎないようにしているという面もあります。
所長は下請け業者さんを教育指導する役目もあるので、時には厳しい事を言わなくてはいけません。
仲良くなりすぎると厳しく言えなくなってしまう場合もあるので、必要以上に仲良くしません。
反対に職人さんも、所長には気を使ったり、話し掛けにくかったりするものです。その点、新人の現場監督は違います。
悪くいえば、「なめられている」という事になるのかもしれませんが、話好きな職人さんにとっては新人や若手の現場監督はいい話し相手です。
場合によってはあなたにとって上司となる所長が厳しい人だったりすると、所長の悪口で盛り上がったりするものです。
休憩時間や仕事中でも、雑談をして仲良くなるのは新人のうちはアリだと思います。
むしろ職人さんを味方につけておく事で、あなたが仕事で困った時に助けてくれるかもしれません。
もしも時間があり、自分で出来る(掃除や片付けなど)職人さんの手伝いなどがあれば
多少なら手伝ってあげてもいいと思います。
上司によっては、「職人さんの手伝いなんて現場監督の仕事じゃない」と言う人もいるかもしれませんが、
そもそも新人はまだ現場監督とは呼べない存在なので、現場の中で色んな経験をして学ぶ事は、決して無駄ではないと思います。
そうやって職人さんに貸しを作っておく事は、悪い事ではないと思います。もちろん、職人さんの手伝いばかりするのは問題ですが、
チャンスがあれば是非取り組んでみてください。
新人現場監督は、片付け・清掃を率先して行おう
先ほど、「職人さんの手伝いとして片付けや清掃をすると良い」というお話をしました。
しかしそれはあくまで職人さんとのコミュニケーションの一つとして行うというもので、ここでのお話はそれとは全く別の話です。
職人さんが作業によって汚したのであれば、それは本来職人さんが片付けや掃除をするのが当たり前です。
ここでの片付け・清掃とは、現場監督がするべき片付け・清掃についてです。
例えば、現場事務所の掃除です。
あなた自身が綺麗好きで、汚い場所で仕事をするのが嫌だから掃除はまめにする。
という性格なら良いのですが、大抵の人は、掃除や片付けは苦手だったり面倒だと思う人が多いと思います。
ましてや、自分が汚したのならともかく、人が汚した場所を自分が綺麗にするなんてどうしてそんな事をしなくてはいけないのか。
と、感じる人もいるかもしれません。しかし、現場事務所は現場監督が利用する事務所です。
当然誰かが掃除をする必要があります。最近は、掃除を部下にばかりさせるのはハラスメントだと言う人もいます。
私もそう思います。では、誰が掃除をするべきでしょうか。それは、「抱えている業務の優先度が低い人」だと考えます。
簡単に言うと、掃除をする時間の作りやすい人です。私が若手だった時は、朝に上司より早く出勤して、上司が出勤する前に床と机の上を掃除していました。
毎日10分程度の簡単な掃除です。
毎日行う事で汚れやホコリもそんなにたまらないので、それほど大変ではありませんでしたし、日課にする事で抵抗もありませんでした。
なにより、上司の知らないうちにやっておく事でさりげなく自分をアピールしていたのです。
するとある日、会社の役員の方が現場事務所に来られて、
「この事務所はいつ来てもきれいですね。他の現場事務所は片付いていない現場も多いのに」
と所長に言ったのです。
すると所長は、
「そりゃあ、そうですよ。ここの現場には○○君がいますからね」
と、私の名前を言ってくれました。
自分の出来る事を自分なりして、その事で評価を貰えた瞬間です。私はすごく嬉しかったのを今でも覚えています。
きちんと評価をしてくれる上司に恵まれたというのもあるかもしれません。
私自身は評価されなくても自分の中で事務所を清潔に保っているのは私の仕事の成果なのだと自己満足していましたし、
上司に言われたから掃除をするのと、自分から掃除をするのとでは、取組む気持ちも変わってきます。
掃除などの簡単な作業は、言われる前に自分の仕事にしてしまいましょう。
まとめ
新人のうちは、
どんな会社や職場でも「雑用」を任されることが多いと思います。
「雑用なんかをする為に会社に入ったんじゃない」と、
愚痴を言いたくなるかもしれませんが、
あなたに任せられる仕事が、
まだ「雑用」しかないからそうなっていると思いましょう。
仕事にはそれぞれ役割があります。
例えば、野球でもピッチャーは誰にでも出来る事ではないですよね。
速い球が投げられたり、コントロールが良くないとピッチャーにはなれません。
それと同じで、専門的な仕事を任せられる能力があれば、
誰にでも出来る「雑用」など与えられるはずがありません。
基本を身に着け、仕事のやる気をアピールした新人には、
次なるステップの新たな仕事が与えられるはずです。
まずは焦らず、自分のできる仕事をこなし、基本を身に着けていきましょう。